事業承継の要となる株の引き継ぎ。多少緩和されましたが下記の通り要件や手続きが複雑なものとなっています。是非ご相談ください。
平成21年度税制改正において創設された、自社株式を贈与した際に通常であれば課税される贈与税を全額免除される、つまり贈与税の納税が不要になる画期的な制度
「非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度」も4年を経過しました。大いに期待された非上場株式等の納税猶予制度でしたが、その適用要件や経営承継機関である当初5年間の継続要件があまりに厳しく、平成23年分においては相続税の納税猶予が51件、贈与税の納税猶予が77件と、適用が少なかったのが実情です。
そこで平成25年度税制改正において14項目にわたって改正が行われました。事前に経済産業大臣の確認を得ておく必要があったことについては、平成25年4月1日以後、その確認が不要になりました。また、平成27年1月1日以後の相続もしくは遺贈または贈与から、適用を容易にする改正が10項目、課税回避防止策の強化が3項目改正の上適用されます。なかでも、適用開始から5年間経営(贈与)承継機関の1年毎の「常時使用従業員数の80%確保」について、5年平均による判定に緩和されたことは、非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度の適用増加につながるものと思われます。(制度の概要は下記(図解)参照)
(注)下記は平成27年1月1日以後の内容にもとづいています。平成26年12月31日までの贈与については、先代経営者は役員を退任し、5年間は給与の支給を受けることができません。また、先代経営者の親族に限って、後継者として贈与税の納税猶予を受けることができます。
平成26年度の税制改正で創設されそうな下記「医業継続に係る①相続税、②贈与税の納税猶予制度」にも動向を注視しつつ取り組んでまいります。
概要 |
個人(以下「相続人」という。)が持分の定めのある医療法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、当該認定医療法人の持分に係る課税価格に対応する相続税制については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内に当該相続人が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
(注)認定医療法人(仮称)とは、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律に規定される移行計画(仮称)について、認定制度の施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいう
概要 |
持分の定めのある医療法人の出資者が持分を放棄したことにより他の出資者の持分の価額が増加することについて、その増加額(経済的利益)に相当する額の贈与を受けたものとみなして当該他の出資者に贈与税が課される場合において、その医療法人が認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、当該他の出資者が納付すべき贈与税額のうち、当該経済的利益に係る課税価格に対応する贈与税額については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内に当該他の出資者が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
(週刊税務通信 平成25年12月16日より)